科学屋台 mkII

科 学 屋 台 mkII



宣 伝
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自己紹介

三木敦朗 (MIKI Aturo)

岩手大学 現代GP(ESD)非常勤研究員 (2007年7月〜)
財団法人 政治経済研究所 研究員 (2006年4月〜)

〒020-8550
岩手県盛岡市上田3-18-34岩手大学ESD推進事務局
【電話】019-621-6939
【FAX】019-621-6928

【E-mail】
mikia26『あ』iwate-u.ac.jp
miki-a26『あ』seikeiken.or.jp
(『あ』→@)

【略歴】
1978年 滋賀県生.信州大学農学部→同大学大学院農学研究科→岐阜大学大学院連合農学研究科を修了.2006年3月に博士(農学)を取得.

【所属学会】
林業経済学会・日本農業法学会・農業問題研究学会中部農業経済学会経済理論学会日本森林学会・共生社会システム学会

【研究者番号】
60446276
科学屋台日誌
2008年10月9日
 日本人が一度に4人もノーベル賞を受賞するというのは、たしかにお目出度いことなのだが、「むかしの日本の科学者は素晴らしかった」という証明である。これが日本の科学の最後の輝きになってしまわなければいいのだけれども。

2008年10月8日
 ブログ「岩大エキス」をつくっている。今月2日に大学のトップページにリンクがはられてから、アクセスが急増した。ちょっと冷や汗ものである。僕がどの記事を書いているかは、読んでもらえれば大概わかると思う。
 別に大学の手先になったわけではなくて(笑)、共同研究の一環だ。「大学教育活動を体験的にPRするための戦略的Blog構築に関する研究」……あ、やっぱり手先か。

2008年10月4日
法正林 「イーハトーブの森と家づくりフォーラム」のイベントで、小岩井農場の神山事業所周辺の森林を見せていただく。
 教科書に出てくるような法正林づくりの試みがあった。写真は、毎年植林していた例。奥にいくほど若い。岩手山からの吹き下ろしから幼樹を守るため、北から南へ、東西帯状に植えられていることがよくわかる。
松根油 こちらは戦争中に松根油を採取した跡。古いものがよく残されていた。


2008年10月3日
 ○○○大学○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○より「採用するには至りませんでした」通知。

2008年9月26日
 なんという“釣り”……!
 僕が軸足をおいている学会「林業経済学会」では、数年前から学会名称を変えるかどうかの検討をおこなっている。今回、そのために設置された「学会名称・学会誌のあり方検討特別委員会」が、会員の意見を募集することにしたらしい。
 意見募集なら普通なのだろうが、今回より踏みこんだのは特別委員会が「新『林政学』宣言」という叩き台を示したことである。「林業経済学会」ではなく、「林政学会」にしたらどうかと言う。この文面が少々刺激的だ。

 しかしこれは特別委員会の真意ではないはずだ。わざとやっていると推測する。
 あえて挑発的な、ある世代には受け入れがたい案を示す。そこで議論がおきる。11月の大会はこの話題で持ちきりだ。それこそが特別委員会の意図するところだろう。むしろ特別委員会の真意は、「林政学会」とは真逆にあるのではないかとさえ思う。

 学会の名称をめぐるこれまでの議論は、どちらかというと「林業経済学」という枠組みが狭くなった、というものだった。その根底にあるのは、次のような認識である。
 ――林業基本法も森林・林業基本法となった。木材生産だけではなく、森林には多面的機能があるのであり、例えば二酸化炭素吸収源としての効果をねらった植林や、エコツーリズムがあるではないか。生業をはなれて、環境教育や森林ボランティア、森林セラピーもある。いま「林業」とだけ言うのはいかがなものか。
 ――経済学が社会科学を代表していたのは、経済こそが社会の下部構造であるという旧いドグマを前提としていたときのことだ。経済学という用語は、カネや商品が直接関係する領域に限って使用すべきであり、歴史学や社会学、文化論やコモンズ論など、さまざま広がっている研究を「経済学」と呼ぶのは適切ではない。
 だから、名称は拡散した研究を包括するものが提案されてきた。穏健な「森林林業経済政策学会」「森林社会経済政策学会」みたいな名称から、「『森林と社会』学会」「森林−人間系科学会」、極端なものでは「森と共に生きよう学会」まで。
 しかし今回の「林政学会」は(特別委員会の意見を真に受ければ)発想を180度転換している。収束の論理である。

 「林政学」という言葉は、すでに多くの大学において、講義名としても研究室名としても用いられなくなった。教科書も「森林政策学」になっている。
 いま改めて私たちの研究を「林政学」と呼ぶことが、ルネッサンスにつながるのか。それとも「昔の名前で出ています♪」になるのか。
 昨年まで特別委員会への基礎資料を提供する「学会名称検討WG」のメンバーだった僕としては、“釣り”とわかっていても意見しないわけにはいかない。まんまと煽られてみることにする。

――――――――――――

 「宣言」は、次のように提案する。
 「われわれがなすべきことは、この混迷の時代に当たり、あるべき森林政策、なすべき林業施策を、明快な学問的根拠と、聡明な未来への洞察、真摯な過去の解析をもとに、指し示すことである。」

 後述する一保留をすれば、この姿勢は首肯しうることだ。しかし意地悪く「われわれ」が誰なのかを問うてみたい。
 私たちの研究分野の危機は、このような姿勢のもとでの共同研究が停滞していることにこそある。学会内に共同研究のための様々なグループ=様々な「われわれ」がつくられることが第一であって、一足とびに学会全体を「われわれ」と言えるものなのかどうか。
 かつては、ある程度に基礎認識(方法論や世界観)を共有したグループが、林業をめぐる包括的な共同研究をおこなったことがあった。林業構造問題研究会の『日本経済と林業・山村問題』(東京大学出版会、1978年)など、内容への賛否はともかく典型例だといえよう。
 だが今ではすっかり見られなくなっている。流行りでない。ある共通の素材について大勢で論じるということはあるけれども、なにを共有しているわけでもないから、結論はいろいろ出てくる。コレだと「指し示す」というほどにはいかぬ。
 もちろん、特定の方法論や世界観で凝り固まって閉じた隠語で語りあうことは良いことではないし、それが異なるからといって学問的論争以上の対立をするのも不毛で時代遅れだ。けれども、個々バラバラのまま政策・施策を「指し示」しても、社会にたいしてお役に立てるとは思えない。学派というのは好きではないけど、チーム競技ならチームは必要だ。
 学会がプロジェクトチームを編成するのもよし、会員内外での自主的なグループづくりを促進するのもよし、打つ手はある。開明的なベテラン研究者がコーディネーターになってくれれば、それこそ学会の初志を引き継ぐ教育にもなる。
 これをしないで、名称だけ先に変えて効果があがるだろうか。新装開店するには、まずリフォームしないといけない。看板だけ新しくしたら、入ってきたお客さんはガッカリである。

 学会名称の議論の中で、学会の外にたいする影響力が低いことが問題点としてあげられていた。
 これは名称が問題なのではなく、第一には学会誌が普及していないことによる。論文が誰かの目にとまらない限りは、影響を及ぼせるはずもない。学会誌がどの大学図書館にも所蔵されていればよいが、財政的な問題もあってかほとんど入っていなかった。しかしこの課題は、CiNiiでの電子版の無料公開によって達成されつつある。これからが楽しみだ。
 一般むけのガイド本・ムック本・教科書的なところに会員が登場できていないことも残念だ。マスコミでも同様。会員こそが適切に解説できそうな項目を、知らない人に書かれてしまっている。実に歯がゆい。先方の事情もあるのだろうが、まずは彼らの検索野の中に入っていないことを解決すべきだろう。まだ個人ウェブページをもっている会員は少ない。研究室のウェブページは学生にまかせきりだから、だいたい立ち上げっぱなしだ。
 手始めに、学会のウェブページに「○○問題なら××がお答えします」といったふうな自己紹介ページを設けたらどうだろうか(もちろん希望する会員のみ掲載する)。出版社・報道のみならず、市民・議会・行政や業界からの問い合わせも容易になり、学会の社会的責任も少しは果たせようというものだ。
 これらは、会員個人の努力よりも、学会としての対応が有効である。

 やや注意すべきだと思うのは、「指し示す」前には、「指し示」せない蓄積の時期が長くあるということである。最終目標だけを鮮明にしてしまうと、学生教育には好ましくない。
 「あるべき」「なすべき」論は言葉が踊り、鼻息の荒い人ほど書きやすい。学生教育では、それを静め、研究は一見あたりまえで限定的な結論しか出してくれないこと、学問の先は長く生涯学習が求められることを実感してもらう必要がある。
 私たちの学会は入会のボーダーが低く、会員増加分の多くは学生である。森林・林業に関わる仕事に就かない可能性もあるが(修士でさえそういう人のほうが多いはず……僕もなりかけ)、それでもなおこの分野との学問的“つながり”の証しとして会員になり続けてもらう意義も大きい。
 そこに「宣言」はどういう意味をもたらすか。

――――――――――――

 名称を変更するスタートラインになるのは、名称を変更せねば困るという会員内外からの要求があることだ。「林業経済研究会」を「林業経済学会」にしたのは(1978年)、いずれ「学会」と名乗らねば困るからである。この判断は正しかった。目下、これと同じくらいの困難があるのか。
 上述したように、学会・会員の社会への影響力が十分でないのは、名称のせいではない。研究を政策・施策へ、という姿勢も、名称を変えれば増すわけではない。
 会員を増やし、学会誌への投稿数を多くするのは、名称の魅力ではなくて、会員の努力だ。われわれの学会が、これまでどのような研究を重ね、学会誌を発行し、社会的な取り組みをしているのか、そういうことがわかる案内を私たちはまず作らなければならない。

 学会誌上での議論を活発化するのなら、「論文へのコメント」「コメントへのリプライ」欄を各1ページほど設けたらどうだろう。「コメント」は論文のすぐ後に載ったほうが効果的で、学会誌の発行に間にあうように書くのは大変だが(査読者が書くわけにはいかない)、退職した会員に力を貸していただくのはいかがか。ややリスキーだが、若手交流会にまわすとか……。
 コメントしづらい論文が増えたことも事実だろう。論文の射程が短くなった。これは避けがたいことだ。大局的な論文をたまに書くのでは就職できないし、再任もされない。いきおい細かい論文になる。
 「宣言」はいう。「大きな政策の転換があった1990年代から2000年代はじめの政策の枠組みを、われわれが未だに総体として把握することに成功していないのは、混迷の証左の一つではないか」。そうかもしれないが、「総体として把握する」ような論文が学会誌の審査を通るのか。試してみるしかないけど。
 「総体として把握」できなくなったのには、他にも理由がある。まず第1に、おそらく林政自体が自律性を失った。80年代後半からの新自由主義下での再編期は、そういうものだと思う。かつては「国家独占資本主義と日本林政」と言えたかもしれないが、国民国家の枠組みが溶解していく中で、ちょっと言いづらくなってきた。すると第2に、日本経済とグローバル経済の総体・歴史的位置づけをどのように認識するかが問われてくる。しかも、ただ一般経済について認識するだけではなく、その中での世界林業、さらにその中での日本林業という、きわめて面倒な分析を重ねなければならぬ。これは今ようやく可能になったというべきであって、少なくとも2006年までは至難だったはずだ(だからといって、しなくてよかったというわけではないが)。これからも個人プレイで乗り切れる課題だとは思えない。

 いちど名称を変更すると、あとは服を着替えるように、時代の都合にあわせて何回も変更することになりはしないか。
 名称変更の前に、私たちができることは数多くあると思うのだ。

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蓄積を活かす:検索の基本(2)
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読後文
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林業立地変動論序説
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リンク
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